クレープ屋さんの開業をめざし、大学卒業に仙台から大阪へ。味にほれ込んだ店で修業をする

2023年6月17日(土)、一軒のクレープ専門店が寺田町(大阪市)でオープンした。

店名は「クレープえんどう」。


店主は弱冠24歳のモモカさん。

子どもの頃からクレープが大好きで(今はお酒も大好き!)、「将来、自分でお店をやる」ことを目標に修業に励み、その夢を実現した。

そんな自分のお店を持つまでのこれまでに歩みについてお話を伺った。

※写真:白石卓也

目次

「クレープえんどう」のお店情報

インタビューにいく前に、お店の情報を掲載しておきます。

お店の基本情報は以下のとおり。

クレープえんどう

・住所 大阪府大阪市阿倍野区天王寺町北2-5-1
・最寄駅 JR環状線 寺田町駅 南口からすぐ
・営業時間 12:00~19:00(材料無くなり次第終了)
・営業日 不定休(お店のInstagramをご確認ください)

2023年7月現在の情報です。

現在は不定休となっているので、休日はお店の公式アカウント(crepe_endo)でご確認ください。

大好きなクレープ屋さんになるのが子供のときからの夢

モモカさんがクレープに出会ったとのは小学生のとき。

宮城県石巻市の出身で、地元にクレープ屋さんはなかったが、毎年夏に開催される「川開き祭り」の出店でクレープを売っていた。

モモカさん

だから、子どものとき、クレープは祭のときに食べるものだと思って。

なかがわ

年に1回だけ食べられる特別なスイーツみたいな。

モモカさん

その後、ちょうど中学に上がるタイミングだったんですけど、家族で仙台市に引っ越して。

仙台に来たら駅前に2店舗あるし、ちょっと歩いたらもう一店舗あるし。
クレープがこんな日常で食べれるんだと思って。

なかがわ

夢のような街にやってきたと(笑)。

モモカさん

はい! それで、嬉しくて、働いてみたいなって中学生くらいの時にずっと思ってて。ただ好きっていう理由なんですけど。

高校生のときにアルバイトとして「クレープ屋さん」デビュー

高校に入学し、いよいよクレープ屋さんでのアルバイトにチャレンジする。

駅前にある通っていた美味しいクレープ屋さんがアルバイト募集をしていて、店頭で直接「アルバイトさせてください」と声をかけ、後日の面接を経て合格となる。

その高校1年生のアルバイト先が、モモカさんの初めてのクレープづくりの場だった。

なかがわ

すぐに上手いことできるもんなんですか、ああいうのって?

モモカさん

いやー、けっこう大変で。初めて働いたところがけっこう厳しかったんですよ、お客さんに出していいクオリティのレベルみたいなのが。

そこで1缶分、200枚くらい練習させてもらって。

なかがわ

1缶っていうのは生地?

モモカさん

はい、生地1回転分みたいな。めちゃくちゃ練習させてもらって、動画とも撮ってもらって、「これならいける」ってなるまでくり返し練習して。



クレープの生地の厚みはお店によっていろいろだが、一般的に厚いと巻いたときに重なり合うから生地だけが口に残る。

なので、薄めに焼くわけだが、薄いと生地が破れやすいというのもあるが、それ以上に一定のスピードで同じ厚さで焼けるようになるまでが難しいという。

なかがわ

その技術を最初に習得するために、時には動画で撮影したりもして、徹底的に鍛えられたと。

ちなみに、どれくらいで焼かせてもらえるようになったんですか?

モモカさん

けっこう昔過ぎて、はっきり覚えてないんですけど、1か月以上は全然出せなかったです。

なかがわ

その時は接客メインで、合間に練習みたいな?

モモカさん

ドリンクとか、仕込みやったり、クレープの生地以外のことをやってました。

高校・大学の7年間、クレープ屋さんで働き、腕を磨く

最初に働いたお店が1年ほどで実店舗を閉店したが、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地であるコボスタ宮城の中にクレープ屋さんを出店していた。

コボスタで試合のある日だけ店舗に立っていたが、何年か働いて辞めるタイミングで、駅前にある別のクレープ屋さんから声がかかり、そこで大学卒業まで働くことになる。


モモカさん

そこにお母さんの知り合いが働いてたんで、「辞めるならうち来ない?」みたいな感じで紹介してもらって。

なかがわ

最初のところはどれくらいの期間働いたんですか?

モモカさん

1年ちょっとで、2つ目のところは高校2年くらいからです。ただ、最初のお店のコボスタの店舗はプロ野球のシーズン中はお手伝いに行ってて、掛け持ちしていました。

なかがわ

あ、じゃ、けっこうハードというか、まあまあ働いてた感じ?

モモカさん

2つ目のところは大学卒業まで働いてたんですけど、ずっと週4くらいでは入ってましたね。

長かったんで、アルバイトの中では一番長い人っていうか、社員さんより長い人みたいな存在になってました(笑)。

アルバイト先での業務を通じて、クレープをつくる技術を磨いていったモモカさん。

他店の調査も熱心で、高校生の頃からいろいろなクレープ屋さんを食べ歩き、味や見た目の研究に勤しみ、そんな日々が大学を卒業するまで続いた。

おいしいクレープと就職先を求め、日本各地のクレープ屋さんを行脚

食べ歩きの目的はクレープの研究だが、それとは別に「就職先=修行先」をリサーチするという意図もあった。

ブレずに「将来クレープ屋さんになる!」という目標があったので、自分が心底「おいしい!」とほれ込める店を見つけ、そこに就職したいと考えていた。


ちなみに、「食べ歩く」といっても並大抵のものではなく、クレープ屋さん目当てに東京や大阪に赴き、時には北海道や福岡まで足を運んだことも。

「正確な数字は覚えてない」とのことだが、

東京や大阪を中心に、100回は食べ歩きの旅行を敢行した。

なかがわ

それだけ行ってると、いろいろ見えてきました?

モモカさん

そうですね。やっぱ映えだけだなとか。インスタのフォロワーが売上に直結してるわけではないんだなとか。

めっちゃフォロワーが多いお店でも15時のピーク時間に2人でやってたり。一方で、SNSはそんなにだけど、ピーク時は4人以上でやってるなとか。だから多分忙しいんだろうなとか。

なかがわ

なるほど。でも、夏休みを利用してとかじゃなく、日常的にそれだけ遠征するのは大変じゃなかったんですか?

モモカさん

けっこう就活の感じで行ってたんで。大学生になってからは。

だから苦にならないというか、観光のついでとかでもあったので、楽しかったです。

大阪で運命のお店(クレープ屋さん)と出会う

そして、そろそろ本格的に卒業後の進路を考えないとと思っていた大学3年次に、運命のお店と巡り合う。

それが大阪・梅田にあったクレープ屋さんだった。

モモカさん

本店が神戸のパンケーキ屋さんで、そこが新業態としてクレープ屋さんを大阪の梅田に出展してたとこだったんですけど。

大阪に来たときに食べたんですけど、めちゃくちゃ美味しくて。

なかがわ

そこは他のところと何が違ったんですか?

モモカさん

まず仙台にはインスタ映えのクレープ屋さんがなくて、大阪とか東京にはたくさんあるんですよ。

「こんなかわいいクレープどうやって作るんだろう」って感じで食べ歩いてたんですけど、インスタ映えのクレープって美味しくないとこがけっこう多くて。見た目だけで。

なかがわ

なるほど。ということは、その梅田のお店は、映えてるし、美味しいし、みたいな。

モモカさん

はい。生地がめっちゃモチモチで、そのとき食べたのがキャラメルナッツクレープだったんですよ。それを明確に覚えてるくらい美味しかった。

で、これどうやって作ってるんだろうって(笑)。


さっそくお店のホームページを調べ、メールで問い合わせをすると、すぐに返事が来た。

大人気店の秘密を知りたいと、就職を志望する

返事が来た梅田のお店は、アルバイトの募集しかやっていなかったが、とりあえず面接を受けることを決意した。

対応してくれたのが店長で、「正社員を希望してるの」「え、しかも仙台から今日来たの?」みたいなことになって、自分じゃ対応できないので社長に伝えます、ということになる。

モモカさん

で、その日に「あさって宮城に帰るんです」みたいな話をしたら、社長が「明日、面接できますか?」みたいな感じで言ってくれて。

で、面接したらその場で「来年から働いてほしい」みたいな。

なかがわ

へー、やっぱり情熱が伝わったんですね。向こうも、応募までのいきさつを聞いたら、普通に喜んでたんじゃないですか?

モモカさん

本当に喜んでもらったし、「わざわざ宮城から来て、こんな人いないよ」みたいな(笑)。

いろいろ食べ歩いて一番おいしかったし、やっぱり忙しいとこだと鍛えられるんで。あとは、なぜこんなに人気なのかも気になったし。

なかがわ

その秘密を知りたいと。

モモカさん

大阪って、梅田だけでもめちゃくちゃクレープのお店があるのに、そこでこんなに行列ができてる店ってなんでなんだろうって考えて。

美味しいからなんだけど、やっぱ働きたいって思うじゃないですか、人気店に(笑)

なかがわ

ま、そういう人気店だと忙しいし、自分も鍛えられると。

で、働いてみてその秘密はわかったんですか?

モモカさん

梅田の一等地という立地も大きいですけど、やっぱり「おいしい」というのが一番だと思うんですけど。

生地もだけど、トッピングのパイやショコラもすべて手づくりでお店で焼いていました。その「こだわり」は強みになっていましたね。

お父さんには最後まで言い出しにくかった「大阪行き」

というわけで、大学を卒業後、大阪にあるクレープ屋さんに就職する。

ただ、ご実家は宮城で、就職先が「大阪」となるとご両親の反対などはなかったのだろうか。

モモカさん

だいたい大学とか就職のタイミングで、東京に行くんですよ、宮城の人って。

自分は大学も実家から通ってたんで、親もずっと仙台にいると思ってたんですけど、「大阪に行くって」決めた時点で、お母さんには面接の段階で言ってたんですけど、お父さんにはけっこう秘密にしてて。

なかがわ

なんとなく言い出しにくいみたいな。

モモカさん

製菓の専門学校とかだとわかるんですけど、普通の4大に行かせてもらってたのに、「飲食店なの?」みたいなのをけっこう友達とかにも言われて。だからお父さんに直前まで言えなくて。

大学4年間通わせてもらったのに、今アルバイトしてるところと変わらないじゃないですか。

なかがわ

たしかに。今こうしてモモカさんの思いとかを聞いてたら必然的な行動だけど、傍から見てると今のアルバイトとおんなじやんってなりそうですよね。

で、最終、お父さんに言ったら特に反対とかはなく?

モモカさん

えっ? 本当に?ってなってたけど、まあ頑張ってみたいな。



というわけで、ご家族の後押しもあり、大学卒業後の2021年4月、モモカさんは大阪にやってきた。

モモカさんの半生part2に続く。

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